本研究では(1)冠動脈プラークの組織因子発現への低酸素の関与、(2)低酸素が血栓形成能を促進する場合、分子生物学的機序を明らかにすることを目的とし、次の結果を得た。 (1)剖検症例の冠動脈標本を用いた検討で、「不安定プラーク」では「安定プラーク」に比してマクロファージに富み、プ ラーク内の組織因子発現とヘキソキナーゼ2の発現及び局在にマクロファージとの相関がみられた。 (2)培養マクロファージで、炎症生刺激による細胞の凝固活性が低酸素で増大されることが明らかとなった。またその効果は、解糖の阻害により無効化された。
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