CYP26A1は今回の検討で主に癌細胞に発現しており、細胞株の検討で癌悪性化に関わることが示唆された。これは、癌細胞ではCYP26A1の発現によってレチノイン酸に対する感受性が低下しており、レチノイン酸の投与もしくはCYP26A1を標的とした治療につながる可能性のある結果である。また、癌組織中では、癌細胞に発現したCYP26A1が組織環境中のビタミンA欠乏を招き、星細胞を活性化して線維化の形成機序の一部を担っていることも考えられる。これらの新規の治療標的、戦略や病態理解は膵癌の極めて悪い予後を改善する可能性を秘めている。
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