本研究では乳酸菌を利用した新しい経口ワクチン系の開発に関わる基礎研究を行なった。ワクチン抗原を発現する乳酸菌、加熱殺菌した乳酸菌の細胞壁表面に大腸菌発現系で発現精製したワクチン抗原を結合させた細菌様粒子、あるいはDNAワクチンとして機能するplasmid DNAを保持する乳酸菌などをマウスに経口(または経鼻)投与し、これらの免疫原性などを評価した。いずれの系でも経口投与では強い免疫原性はみられなかったが、経鼻投与では比較的強い免疫原性がみられた。特に細菌用粒子の経鼻投与では全身性の免疫応答に加え、呼吸器粘膜、さらに腸管粘膜にも強力な免疫応答が誘導されることが明らかになった。
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