腸管は様々な食物成分や腸内細菌に曝されており、これらが腸管の免疫系制御に働く。近年、食物に含まれる10kDa以上の分子(食物抗原)が小腸の免疫細胞の誘導に働くことが報告された。本研究では食物抗原が免疫系の誘導を介して消化器腫瘍の制御に働くのではないかと考えて研究を行った。消化器腫瘍を自然発症するAPCminマウスを用いて実験を行った結果、食物抗原が小腸腫瘍の発生を抑制することが分かった。さらに、小腸の免疫誘導組織であるパイエル板が腫瘍の発生抑制に働くと共に、食物抗原による免疫系の誘導に関与することを明らかにした。以上から、食物抗原がパイエル板を介して小腸腫瘍の発生を抑えることが示唆された。
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