研究課題
非小細胞肺がんの治療においては、活性型EGFR遺伝子変異とともに耐性変異であるT790M変異を標的とした第3世代EGFR-TKIオシメルチニブが、初回治療においても使用できるようになった。しかしまだその耐性機序は明らかにされていない。近年、リキッドバイオプシーと呼ばれる血中循環DNAを利用したバイオマーカー検出が、組織検体の代替法として期待されている。本研究は高感度検出法であるデジタルPCRを用いて、初回治療としてオシメルチニブ治療を受ける患者の実臨床検体を用いた前向き観察研究により、血中バイオマーカーとオシメルチニブの治療効果との関係や耐性機序を明らかにすることを目的としている。現時点で目標症例数50例に対して、26例が登録されている。登録症例を対象として治療開始前、治療開始1か月後、増悪時の3ポイントで採血を行い、血漿、血清を分離の上で院内のバイオバンクに保管している。保管した血漿については、市販のコバス社のDNAサンプルプレパレーションキット(cfDNA)を用いてcell free DNAとして抽出し、院内のバイオバンクに保存している。また、BioRad社製のデジタルPCR(QX200 Droplet Digital PCRシステム)を用いた血中EGFR DNA量の測定について、Horizon社製の検量用DNAサンプルを用いて条件設定を行い、定量性に問題がないことが確認できている。またEGFR遺伝子変異陽性患者の治療効果予測を行う研究の一環として、多施設共同の後ろ向き観察研究を行い、論文執筆を行った。現在、出版社で査読中である。
3: やや遅れている
目標症例数50例に対して、1年の研究期間でおおよそ半分の26例まで症例集積が進んでいる。このペースでいけば2年ほどで目標症例数に達する見込みである。血漿からcell free DNAを抽出する作業も、現在進行中である。ただコロナウイルス蔓延の影響で大学内での研究が制限されたこともあり、cell free DNAを対象としたデジタルPCRによる測定作業については、これから行っていく予定である。みらか研究所との共同研究であるエクソソーム抽出作業については、既に購入した血液での予備実験を行っている。
目標症例数50例までは、後24例の症例集積が必要であるため、研究グループ内へ働き掛けて引き続き症例登録を進めていく。また血漿からのcell free DNA抽出作業も併せて行っていく。今後はBioRad社製のデジタルPCR(QX200 Droplet Digital PCRシステム)を利用したcell free DNAからのEGFR遺伝子変異DNA定量作業を行っていく予定である。みらか研究所と共同して行っているエクソソーム抽出作業も、実臨床検体を用いての実験を予定していく。
現在26例の症例集積、およびその保存された血液検体からのcell free DNA抽出作業をコバス社のDNA サンプルプレパレーションキット(cfDNA)を購入し、行っているところである。今後、cell free DNAからデジタルPCRを用いてのDNA測定を行っていく予定である。デジタルPCRはランニングコストが比較的高価であるため、今後予定した予算を使用する必要が出てくる。
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