慢性疼痛患者の多くは不安障害や睡眠障害も同時に発症し、不快な痛みに加えてこれら症状がQOL低下の原因となっている。先行研究から大脳皮質一次体性感覚野(S1)は痛覚認知に関与すると示唆されているが、S1が不安や睡眠障害との関連を有しているか不明である。したがって、本申請課題では化学遺伝学的手法を痛み刺激に応答するS1の神経細胞に適用し、人為的にこの細胞の神経活動を制御することが可能なマウスを作製する。このマウスを用いてS1の特定の神経細胞の活動亢進が不安様行動や睡眠・覚醒に与える影響を行動学薬理学的手法により解明し、痛みに伴う不安障害や睡眠障害に対する効果的な治療法の構築を目指した。
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