四肢末梢の動脈が発作性に攣縮して末梢循環障害が起こるレイノー現象は、しばしば難治性である。レイノー現象に対する治療として、保存療法、物理療法、胸腔鏡下交感神経切除術などが行われているが、患者の満足が十分得られる治療法はない。同現象に対して経穴に鍼灸刺激を行うことによる鍼灸治療の有用性が報告されているが、特に足趾レイノー現象に対する治療法は確立されていない。本研究は経穴と動脈に分布する脊髄神経(血管枝)との解剖学的位置関係を検証し、血管枝が太衝穴に限局することを明らかにした。 これまで、経験的に掌握された疾病の反応点であり治療点でもある「経穴」の有用性を解剖学的視点から証明することができた。
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