抑うつ状態を呈する精神疾患の鑑別は病初期など困難である場合が多い。双極性障害患者の60%は最初にうつ病と診断され、正確な診断に至るまで通常5-10年かかる。抗うつ薬使用が双極性障害の病状を悪化させる可能性があり、抑うつ状態の早期鑑別診断は適切な治療に極めて重要である。本研究は報酬に基づいた意思決定の実験パラダイムによる行動・脳画像研究の既報で得られた知見を活用し、現在保険診療の「抑うつ状態の鑑別診断の補助」より精度の高い鑑別診断法を開発するための実験課題を作成した。より早く正確に診断されれば、適切な治療や重症化予防が可能となり、患者にかかる身体・精神・経済的負担を最小限化することができる。
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