本研究は、腸内細菌叢の精神・行動特性への影響について、認知機能に焦点を当て検証した。BALB/cマウスを、無菌(GF)マウス、および無菌マウスに病原体を保有していないマウスの常在腸内細菌叢を経口投与した (EX-GF) マウス群の2群に分類した。無菌条件下で、Y字迷路課題を使用し、自発的交替行動を測定し、短期記憶(空間的ワーキングメモリ)を観察した。GFマウスと、Ex-GFマウスでは明らかな短期記憶の差が得られなかった。以上の結果から、腸内細菌叢が、衝動性や攻撃性に影響を及ぼす一方で、認知機能への影響は少ない可能性が示唆された。
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