不安障害やうつ病患者では、負の情動と関連した感覚刺激に対し、無視すべき状況でも強く注意を引かれてしまうことが知られる。この注意選択の異常は、治療の障壁や再発リスクとなる。本研究により、マウスにとって生命維持に重要であるエサを報酬とした場合には、不要な刺激が遮断されることが示唆された。一方、娯楽である回し車を報酬とした課題を作成することで、人間が日常生活で発揮するものにより近い注意機能の評価が可能であることが示唆されたことから、これを応用した課題を確立することで、負の情動と関連した感覚刺激による注意選択の阻害を適切に評価できると考えられる。
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