リンパ系はがんの初期転移経路であり、有望な治療対象であるが、リンパ系への選択的な治療手法はまだ確立されていない。これまで、リポソームやポリマーを使用して皮下や腹腔にリンパ系に選択的に取り込まれる物質を投与する方法が研究されてきた。しかし、これらの手法では局所での炎症反応や全ての薬剤がリンパ系に吸収されず、毛細血管からも吸収されるという問題が解決できない。この研究では、リンパ系に直接抗がん剤を投与することで、抗がん剤の効果を最大化しつつ,副作用を軽減することが出来ると期待される。また、抗がん剤をリンパ流に順行性に注入することで、がん細胞の分布と一致することが期待される。
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