今回の研究では抗がん剤の治療効果に直結する肝癌遺伝子変化の同定には至らなかったが、Liquid biopsyにより肝癌の遺伝子解析が可能であることを示した点は、新規治療薬が承認され治療選択肢が広がっている現状において手術不能肝癌の最適な治療選択に向けた特徴の解明、新たな分類の可能性につながる。また、ウイルス制御下や非ウイルス性肝癌は手術不能な進行癌で発見される症例も多いが、臨床データベースを用いて肝癌の臨床的特徴とゲノム変化の関連を解析する中でFIB4-indexがウイルス制御下発癌の高リスク群の囲い込みに有用であることを見出したことは、効率的な癌サーベイランスに向けて社会的意義が大きい。
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