本研究の目的はこれまで解明されていない肝星細胞に対する直接的影響に着目し,RGDインテグリンを薬理学的に阻害することにより,肝線維化が改善する機序を解明したうえでこれによる新たな肝線維症治療薬を開発することであった.この研究により得られた成果は有効な肝線維化治療薬が存在しない現状において,インテグリン阻害剤を応用して肝星細胞の活性化抑制機序に基づく新しい抗線維化治療薬の開発に繋がる学術的にも社会的にも極めて意義のある成果をもたらしたと考えられる.また従来は接着分子としての役割に注目され,主に抗腫瘍薬として研究されてきたRGDインテグリン阻害剤の新たな領域の開拓へも繋がる可能性を秘めている.
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