膵癌と脂肪組織の相互作用の解明についての三次元培養モデルを用いた研究を行った。脂肪組織は、膵癌細胞の活性化、浸潤能の増強に寄与し、アポトーシスを抑制する因子であった。脂肪細胞と共培養した群では、IRF/STAT pathwayに関するタンパクの増加が見られた。ゲムシタビン投与を行うと、脂肪細胞が存在下では、抗癌剤抵抗性が惹起された。また、癌細胞が脂肪組織に及ぼす因子を解析したところ、癌細胞と共培養した群では、培養液中のインターフェロン量の増加が見られた。以上より、膵癌細胞と脂肪組織は、インターフェロンならびにIRF/STATを介した相互作用を有している可能性が示唆された。
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