ヘリコバクターピロリ除菌時代における胃癌の原因として喫煙が注目されている。肺癌においてタバコ抽出物の暴露によるHIF-1αの活性化が示されている。そこで本研究では、喫煙者の胃癌の特徴をHIF-1αを通して検討し、HIF-1αの下流遺伝子で、大腸癌で発癌と関係する可能性があるRELを標的とした胃癌治療が可能か検討した。その結果、RELの阻害剤のみでは腫瘍細胞の低酸素での耐性を解除することができず、大腸癌と異なった遺伝子機構の存在が示唆された。組織学的な検討では、喫煙者ではややHIF-1α活性化が多い傾向であり、これらの知見は今後のHIF-1αを標的とした胃癌治療の開発で役立つと考えられた。
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