肝細胞由来タンパク質であるビクニンの糖鎖構造が,正常肝細胞由来のものと肝細胞がん由来細胞株に由来するものとでは異なることを見出している。ビクニンは血液中から尿中に移行し体外に排出されることから,尿を用いた肝細胞がん腫瘍マーカーの開発を行った。研究期間中に新型コロナウイルス感染症が流行し,患者検体の使用を中止したため,腫瘍マーカーとしての検討は十分にできていない。一方で,この糖鎖構造の違いを生じさせるメカニズムに注目し研究を行った結果,肝細胞がんでは糖鎖合成に関与する特定の酵素の発現が亢進していることを見出した。今後,新たな非侵襲性肝細胞がん腫瘍マーカーとしての開発が期待される。
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