膵癌は5年生存率が10%に満たない予後不良な疾患である.膵癌細胞では上皮間葉転換(EMT)が起こりやすいとされ,局所浸潤・転移を起こしやすい一因とされている.その発現低下がEMTを介して腫瘍進展に関与する分子としてE-cadherin(CDH1)に着目し,細胞レベル・動物モデルでの検討を行った.膵癌細胞からCDH1を失わせることにより,膵癌細胞の浸潤能・移動能が増加することが示唆され,膵癌の悪性度が上がる要因となることが示された.CDH1を失うことで,発現亢進が示されたヒストン脱アセチル化酵素であるHDAC1を阻害することでCDH1を失った膵癌細胞の増殖が抑制されることが示された.
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