研究成果の概要 |
研究代表者らは,拡張型心筋症32例におけるFollistatin-like 1(FSTL1)血中濃度,特に経心臓勾配と血行動態および予後との関連を検討した。冠静脈洞と大動脈根部の血清FSTL1値の差で定義された経心臓勾配(FSTL1 CS-Ao)は,肺動脈楔入圧と有意に相関した。生存解析では,心臓イベント発生率は,低FSTL1 CS-Ao群で有意に高率であった。Cox回帰分析では,FSTL1 CS-Aoは心臓イベントの独立した予測因子であった。FSTL1の経心臓勾配の低下は,DCMの新しい予後予測因子となる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究代表者らは,拡張型心筋症患者におけるFSTL1血中濃度の経心臓勾配が肺動脈楔入圧と有意に相関することを示した。また,FSTL1の経心臓勾配の低下は,不良な予後と関連し,心臓イベントの独立した予測因子であることを明らかにした。この結果は,FSTL1経心臓勾配が拡張型心筋症の不良な血行動態を反映し,予後改善のための新たな治療ターゲットとなりうる可能性が示唆された。この結果は,DCMの発症や進展予防のメカニズム解明のヒントとなり,新たな診断法や治療の開発といった臨床応用に展開するための基盤となりうる可能性がある。
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