本研究では、間質性肺炎(IP)に合併した肺がんのドライバー遺伝子に非依存的に発がん機能の特徴を全ゲノムシークエンスを用いて描出を試みた。細胞系列特異的な遺伝子であるNKX2-1が、染色体構造異常含めて高頻度に認められる遺伝子異常であることを同定し、それが発現量の低下をもたらすことを明らかにした。また、切除肺を用いた空間的拡がりの検討では、非腫瘍部にもがん関連遺伝子の変異が蓄積していること、またそれが同一肺葉内で広く分布している可能性を示した。この結果は通常の既存のドライバー遺伝子に依存しない新たな発がん機能の基盤情報となる可能性がある。
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