本研究は、動物やヒトにおけるPT糖新生を肝糖新生との比較を通じて多面的に解析することで、PT糖新生の調節機構を明らかにし、2型糖尿病やCKDに合併する高血糖やインスリン抵抗性の病態形成におけるPT糖新生の意義を検討するものである。本研究結果から、PTHはPKCを介して近位尿細管糖新生を亢進させ、インスリン/Akt/FoxO1経路を阻害して近位尿細管におけるインスリン抵抗性を惹起する可能性が示唆された。また、この制御機構は肝臓にはない、PT特異的なものであり、原発性副甲状腺機能亢進症、偽性副甲状腺機能低下症およびCKDに伴う糖代謝異常やインスリン抵抗性の病態解明の一端となる可能性が示唆された。
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