本研究は、がん化学療法中の患者での概日リズムの障害を是正し菌血症の発症を抑制することを目的とした。まず最初の検討では、化学療法患者において菌血症を来した症例を網羅的に解析し、口腔内常在菌と菌血症とに細菌学的な関連があることを見出した。化学療法中の患者で起こる菌血症の約半分の症例(46.2%)は口腔内細菌由来であることが分かった。また化学療法中の発熱患者において好中球減少の程度とその後の発熱エピソードの関連を、好中球減少度尺度を用いて予測するモデルを作成しそれを確立した。菌血症の発症時間とその後の臨床経過には明確な関連がみられず、概日リズムと菌血症の関連も明らかにはならなかった。
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