脂肪萎縮症は脂肪組織が減少あるいは消失する疾患の総称で、障害部位により全身性と部分性に分類される。また原因も様々で、全身性、部分性それぞれに、先天性と後天性が存在する。しかしながら、いずれの場合においても一定以上の脂肪組織が消失すると強いインスリン抵抗性を伴う糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝など種々の糖脂質代謝異常を呈する。先天性全身性脂肪萎縮症患者の平均寿命は30ー40歳と言われ極めて予後不良である。脂肪細胞分化におけるセイピンの分子生物学的意義の解明は、先天性全身性脂肪萎縮症の治療に結びつくだけではなく、脂肪細胞研究の発展に広く寄与することが期待できる。
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