膵癌は難治癌であり、現状、癌進行を一時的にでも止めうる薬剤は限られている。新規薬剤開発のためには、膵癌特有の悪性化機序に則したスクリーニングが必要である。膵癌の高度神経浸潤症例は名古屋大学医学部附属病院・消化器外科のデータからも予後不良であることが分かっているが、ROBO4発現低下による神経ネットワーク構築破綻が膵癌の悪性度を高める結果となった今回の研究は、そのひとつの裏付けとなりうるものと考えられる。また、ROBO4がEMT関連遺伝子のひとつMMP-9の発現に逆相関することも興味深く、ROBO4を充足することで腫瘍進行を遅らせるという治療strategyを検討する余地があると考えられる。
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