慢性疼痛の治療として一般的な運動療法は、強いエビデンスを持って各種ガイドラインで推奨されているが、その生理メカニズムは不明な点が多い。痛みの慢性化にNMDA 受容体の関与が示唆され、キヌレン酸は内因性NMDA 受容体作動物質で、申請者らはキヌレン酸の神経障害性痛に対する鎮痛効果を見出した。本研究は、痛みの慢性化に骨格筋機能の低下が影響し、運動療法の鎮痛効果にキヌレン酸が関与しているという仮説のもと、痛みが慢性化する機序の解明を目指し、キヌレン酸が慢性痛に対する新たな治療アプローチと成りうる可能性を探ったが、残念ながらその解明には至らなかった。
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