研究実績の概要 |
GABAa受容体は、19種類のサブタイプのうち5つから成り立つ5量体のイオンチャネル型受容体である。その19種類の内、多く発現されているα、β、γ、δの13種類のサブタイプの発現を解析した。 ヒト急性単球性白血病細胞株(THP-1)を使用して実験を行った。THP-1をPhorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)刺激し①マクロファージへ分化させ、②このマクロファージを用いてM1分化させた。③M1分化時にプロポフォールを添加し培養した。①~③の各細胞のGABAa受容体サブタイプのmRNA発現をRT-PCR法で解析した。①マクロファージ分化、②M1分化、③M1分化時のプロポフォールによるGABAa受容体サブタイプへの効果・影響を遺伝子発現変化で検討した。 ①ではGABAa受容体サブタイプのα1、α4、β1、β2、γ1、γ2のmRNAが有意に増加した。②ではα1、α4、β1、β2、γ2のmRNA発現は有意に抑制された。③ではα1、α4、β2のmRNA発現が増加傾向であった。 THP-1においてマクロファージ分化、M1分化によってGABAa受容体のサブタイプの遺伝子発現は有意に増減した。特に、炎症抑制効果に関与しているα1,α4の発現増加はプロポフォールの持つ炎症性サイトカイン抑制効果に繋がる可能性が示唆される。この研究結果をまとめ2020年6月に第60回日本麻酔科学会で学会発表後、論文を作成した。AME medical journalにacceptされてpublishを待っているところである。
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