多臓器不全は、生体にとり過大な侵襲によって生じる死亡率の高い難治性の病態である。申請者は、多臓器不全患者においてはサイトケラチン7(CK7)陽性の管腔形成が生じていることを見出し、この現象と多臓器不全と関係性につき調査を行った。ヒトの病理検体標本を用いて、肝臓、膵臓、腎臓におけるCK7陽性細胞を検討した所、多臓器不全患者においてはそのすべての臓器においてCK7陽性の管腔形成を認め、その数は患者の臓器不全数に応じて増加していることが明らかとなった。本研究の結果により、CK7陽性の管腔形成は、多臓器不全患者に出現する臓器を超えた変化であり、臓器機能不全に関連する可能性が考えられた。
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