脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)の予後を改善するには、従来より注目されていた脳血管攣縮に加え、早期脳損傷(EBI)と総称されるSAH特有の発症直後から潜在性に生じる脳損傷を的確に診断し、早期に治療介入する必要がある。EBIは遅発性脳障害の原因になると考えられているが、現状では診断法が全くない。そこで、特殊な細胞外基質蛋白であるマトリセルラー蛋白と総称される一群の蛋白の血中濃度を測定することで、病態生理を反映したバイオマーカーとして活用し、マトリセルラー蛋白を分子標的としたSAH後の遅発性脳損傷に対する新たな診断法を開発するための基礎データを得た。
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