研究課題/領域番号 |
19K18426
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高野 浩司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90649203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / 神経膠腫 / 免疫療法 / PDX / ヒト化マウス / WT1 / ペプチドワクチン / PD-1 |
研究実績の概要 |
通常、免疫療法に関する動物実験では実験動物由来の腫瘍細胞株を同系移植したモデルが用いられる。しかし、「ヒト」悪性脳腫瘍に対する免疫療法を確立するためには、「ヒト」由来の脳腫瘍細胞を用いて作成した「ヒト」免疫系を持つ実験動物を用いて実験することが望ましい。本研究ではそのような免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを作製し、これを用いて実際に各種免疫療法を試し、既存モデルでの解析結果と比較して相違を明らかにすることを目的とする。 これまでに、過去のWT1ペプチドワクチン療法(WT1療法)の臨床試験で得られた腫瘍組織検体の追加解析を行い、WT1療法においてはWT1蛋白の発現維持が重要であること、免疫チェックポイント阻害剤との併用が有用である可能性があることを報告した(Cancer Immunol Immunother, 2022)。さらに、既存の同系移植マウスモデルを用いてWT1ペプチドワクチン・PD-1抗体併用療法の有効性を検証する実験を行い、併用療法によって相乗効果が得られること、また、それぞれの治療ががん・免疫サイクルの異なる段階で作用していることを報告した(Neuro-oncology Advances, 2021)。一方、免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルの作製については、既に複数の悪性神経膠腫PDXを作成し、さらに多くのPDXの作成を進めている。また、免疫系ヒト化マウスについても準備を行った。今後はこの免疫系ヒト化マウスの脳にヒト悪性神経膠腫PDXを移植するが、その際に観察を容易にするために、このPDXに蛍ルシフェラーゼ遺伝子を導入する予定である。最終的にはこのPDXを用いて作成した免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを用いて免疫療法を行い、上述の臨床試験で得られたデータ、同系移植マウスモデルで得られたデータとの比較を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究で得られた腫瘍組織検体の解析や既存の同系移植マウスモデルを用いた実験について、論文投稿にあたり追加解析や追加実験が必要となったため予定よりも論文掲載までに時間を要した。さらにCOVID-19の影響で実験に制限があったこともあり、免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを用いた実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き悪性神経膠腫PDXの作製と、その特徴の解析を進める。さらに、これらのPDXに対して蛍ルシフェラーゼ遺伝子の導入を進める。免疫系ヒト化マウスへのPDX生着が確認できれば、免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを用いて免疫療法を行う実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを用いた実験が遅れているため次年度使用額が生じた。次年度は学会発表の旅費、論文投稿に関わる費用、解析に必要なハード・ソフトの購入費、動物実験施設利用料、実験動物購入費、細胞培養用消耗品、各種試薬購入費、などに使用する予定である。
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