早期変形性膝関節症(膝OA)患者に対する立位および膝屈曲伸展位超音波検査と自覚的・多角的臨床所見の評価は前年度に早期膝OA患者100例に実施し、この評価が「内側半月板hoop機能を評価することに適しており、早期膝OA患者に対するスクリーニングとして有用である」ことを示し、2020年の第93回日本整形外科学会にて報告した。またこの結果は現在英文雑誌に投稿しており、英文として発信される予定である。 また早期膝OA患者の中でも特に注意すべき半月板損傷(内側半月板後根断裂)を持つ症例に対しても同様の評価を行い、「内側半月板後根断裂は膝関節屈曲で半月板逸脱の減少が少ない」という特徴的な超音波所見を見出し、2021年開催の第94回日本整形外科学会にて発表予定である。 また早期膝OA患者に対する立位MRI検査に関しても、同様に変性した内側半月板で非常に大きな逸脱を生じるが、内側半月板後根断裂では逸脱の変化が少ないというこれまで知りえなかった新たな知見を得た。この結果は今後学会発表および論文にて報告する。さらに前年度に見出した「立位超音波を用いて外側楔状足底板治療効果の可視化が可能」という結果を日本整形外科超音波医学会誌に投稿し、学会最優秀論文賞を受賞した。 本研究の最終目的は早期膝OAに対する診断および治療へのフローチャートの作成であったが、早期膝OAに関しては今回の研究を踏まえても不明な点が多く、臨床に活かせる明確な理療フローチャートの作成には今後さらなる検討が必要である。
|