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2019 年度 実施状況報告書

破骨細胞に影響を与える骨肉腫細胞由来エクソソーム内分子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18529
研究機関金沢大学

研究代表者

荒木 麗博  金沢大学, 附属病院, 医員 (10800625)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードNFATc1 / NFκB / IκBα / リン酸化抑制 / 血管新生 / 肺転移
研究実績の概要

in vitroにてマウス及びヒト骨肉腫細胞由来エクソソームを添加したマウス破骨前駆細胞(マクロファージ)において破骨細胞の分化が抑制されていることをTRAP染色にて確認した。その機序として破骨細胞分化の転写因子であるNFATc1をはじめ、その下流のDC-STAMP、OC-STAMP、Atp6v02dなどの分化誘導分子が有意に抑制されていることをmRNAレベルでqRT-PCRにて確認し、さらにRANKL刺激後のNF-κB経路でNF-κB及びIκBαのリン酸化がタンパクレベルで抑制されていることをWestern blottingで確認した。これらのことから骨肉腫細胞は骨微小環境において、その分泌するエクソソームによってNFκB経路のリン酸化を抑制し、破骨細胞の分化を抑制しているという機序が解明された。さらにエクソソームの分泌・排出を制御する分子のひとつであるTSG101をknock outしたマウス骨肉腫細胞を樹立し、Wild typeのマウス骨肉腫細胞との違いを腫瘍担持マウスにおいて組織学的評価及びその生存率について評価を行った。腫瘍組織自体のKi-67indexは有意に減少し、腫瘍周囲組織においてCathepsinK陽性の破骨細胞の有意な減少、CD31、CD34及びVEGFAの発現の有意な減少を認めた。マウス肺組織においても転移巣の数及び転移の面積も有意に減少を認めた。マウスの生存率(n=8)もKaplan-Meir曲線にて有意差を認めた。これらのことから、骨肉腫細胞由来エクソソームが腫瘍の局所における血管新生を通して浸潤を促進し、遠隔で肺転移を促進していることが示された。以上のことから、悪性度の高い腫瘍はエクソソームを多量に排出し、その中の分子が破骨細胞の分化を抑制し、血管新生を通じて局所の浸潤や転移を促進していることがin vitro及in vivoともに示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画した研究は順調に遂行できており、結果も伴ってきていると判断している。

今後の研究の推進方策

今後は質量分析を通してエクソソーム内の分子の中で、破骨細胞の分化の抑制に寄与している分子を同定していく。比較するエクソソームとして、骨肉腫細胞とそのNegative controlの細胞を設定するため、破骨細胞の分化に影響を与えないエクソソームを排出する細胞の探索が必要である。

次年度使用額が生じた理由

当初見込んでいた金額よりも少ない金額で材料費や薬剤の購入ができたため、次年度の使用額が生じました。次年度に行う実験において、質量分析など外部委託費に充てたいと考えております。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 骨肉腫細胞由来エクソソームが破骨細胞の分化抑制に及ぼす分子メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      荒木麗博、山本憲男、林克洋、武内章彦、三輪真嗣、五十嵐健太郎、谷口裕太、米澤宏隆、森永整、淺野洋平、吉田孟史、華山力成、土屋弘行
    • 学会等名
      第34回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 骨肉腫細胞由来エクソソームによる破骨細胞の分化抑制に関する分子メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      荒木麗博、山本憲男、林克洋、武内章彦、三輪真嗣、五十嵐健太郎、谷口裕太、米澤宏隆、森永整、淺野洋平、吉田孟史、華山力成、土屋弘行
    • 学会等名
      第57回日本癌治療学会

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公開日: 2021-01-27  

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