現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前立腺全摘患者検体でYAP1核内高発現が薬剤耐性および化学内分泌療法後前立腺全摘を施行した前立腺癌患者の予後因子になることを、昨年、2名の病理医によるvalidationにより再確認し、結果を報告した(Matsuda Y, Narita S, Nara T, et al. Impact of nuclear YAP1 expression in residual cancer after neoadjuvant chemohormonal therapy with docetaxel for high-risk localized prostate cancer. BMC Cancer. 2020 Apr 15;20(1):302.) 。その後in vitroにおいて化学療法抵抗性とhippo経路の関連の軸となる他分子(TAZやVGL4等)を探索するためwestern blottingを行ったが、いずれも発現変化を認めなかった。また、これまでヒト前立腺全摘検体の解析は術前治療が行われた検体の組織を中心に検討していたため、無治療で前立腺全摘を施行した組織でのYAP1発現の検討が必要と考えた。その後当科において治療された症例数が増加したため、ハイリスク限局性前立腺癌80例、240コアの前立腺全摘標本のtissue microarray構築を進めており、症例とスポット組織の選定が終了した、あとは受託によりTMAの作成を依頼し、完成したらYAP1の発現を解析する予定である。更に最近YAP/TAZ経路が腫瘍免疫に重要な働きを与えていることが報告されたため(Pan, Mol Cancer Res, 2019)、前立腺癌発症マウスモデルで腫瘍周囲微小環境とくに免疫環境と癌増殖の関連を検討し、前立腺癌増悪モデルでは制御性T細胞が減少し、CD8陽性キラーT細胞が増加していることを見出した(Sato, Nara, The 115th Annual Meeting of the American Urological Association 2020。)。今後は同モデルを用いてRNA、蛋白レベルでHippo経路と腫瘍免疫環境の関連を検討したいと考えている。
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