男性不妊症の約60%は特発性精子形成障害であり、特発性精子形成障害の精巣生検においては、リンパ球浸潤などが認められる症例も多く、何らかの免疫操作が関わっていると考えられている。しかしながら、これまでに自己免疫精巣炎が惹起される自己抗原の詳細は明らかになっていない。本研究では精巣自己抗原候補分子(Hspa4lやGit1)によるマウスへの免疫化が実験的自己免疫性精巣炎(EAO)を誘発することを明らかにした。また、Hspa4lとGit1に対する液性免疫と細胞性免疫の両方がEAO発症と密接に関連していることを実証し、ヒト男性不妊症の診断のためのバイオマーカーとして応用できる新たな可能性を示唆した。
|