研究課題
夜間多尿の病態解明、治療法開発に動物モデルを用いた基礎研究が必須である。加齢に伴うNO低下と高塩分食の組合せが夜間多尿を引き起こすとの仮説をたてた。19週齢C57BL6/J雄マウスをL-NAME(NO合成酵素阻害薬)投与の有無で分け、標準食(normal salt diet,NSD)もしくは1%高塩分食(high salt diet, HSD)の組合せでNSD群、HSD群、L-NAME群、L-NAME+HSD群の4群に分類し、以下の4つの項目を比較検討した。1. 非活動期尿指数DPi(非活動期尿量/1日尿量)、2. 活動期の尿中Na排泄量3. 活動期の遠位尿細管SPAK、NCC、集合管ENaCのタンパク量 4. 全身と腎局所のRAS系活性 1. DPiは0.12、0.13、0.23、0.29(NSD、HSD、L-NAME、L-NAME+HSD)でL-NAME+HSD群で有意に増加した。2. 活動期尿中Na排泄量(mEq)は0.106、0.200、0.104、0.158でL-NAME投与により塩分負荷時の活動期尿中Na排泄が抑制された。3. NCC の活性0.993、0.680、0.862、0.779とL-NAME+HSD群はL-NAME群と比較し有意な低下を認めなかった。L-NAME投与により塩分負荷時にNCCが過剰活性化することが示唆された。ENaCの活性は4群で有意な変化を認めなかった。4.全身のRAS系はL-NAME投与の有無に関わらず塩分負荷すると抑制されるのに対し、腎局所のRAS系はL-NAME投与下に塩分負荷すると抑制されないことが示唆された。新規夜間多尿動物モデルの確立に成功した。夜間多尿の病態は、腎臓内RAS-SPAK-NCC経路の過剰活性化による活動期Na排泄の低下と考えられた。腎臓内RAS-SPAK-NCC経路は夜間多尿の有望な治療ターゲットと考えられた。
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Communications Biololgy
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Scientific reports
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