これまでの癌における創薬研究は単一細胞種を標的としたものである。腎癌においても、癌細胞や血管内皮細胞において恒常的に活性化されている癌シグナル経路をターゲットにした創薬、また近年では腫瘍内免疫細胞をターゲットにした創薬が展開されているが、その効果はどの薬剤においても十分ではない。単一細胞種のみを標的とした場合、複雑にクロストークしている癌微小環境に大きなインパクトを与え、強力な抗腫瘍作用を得るのは難しい。本検討で着目したmiRNAは、癌細胞のみならず癌促進性に働く間質細胞に対しても抑制性に働くため、これまでの創薬ターゲットよりも強力な抗腫瘍作用を発揮できることが示唆された。
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