尿路上皮癌細胞株に対して一価不飽和脂肪酸(MUFA)であるオレイン酸を前投与するとフェロトーシス感受性は著明に低下し、感受性に生体膜の脂質組成が大きく影響することが明らかとなった。一般に癌細胞はde novoのMUFA合成の責任酵素であるSCD1発現が上昇しており、尿路上皮癌細胞株においてSCD1抑制はフェロトーシス感受性を上昇させたことから、尿路上皮癌はMUFA合成促進によりフェロトーシスから逃避していると推測された。さらに、ゲムシタビンはSCD1を低下させたことから、生体膜のMUFA比率を低下させる可能性があり、ゲムシタビンとフェロトーシス誘導薬との併用療法の可能性を見出した。
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