研究成果の概要 |
局所進行子宮頚癌において同時化学放射線治療は重要な治療戦略の一つである. しかしながら1年以内に約1割の患者が再発しており, 同時化学放射線治療の感受性マーカーとして転写因子SIM2Lが活用できるか評価を行った. 48症例の同時化学放射線治療開始前の生検検体を使用し免疫組織化学によるSIM2発現の評価をH-scoreを用いて行った. その結果, SIM2の発現がLowである症例は27例,Highである症例は21例であり, SIM2発現の高い群の方が低い群と比較して予後不良であった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌の治療はテーラーメイドの時代へ突入し, 治療の個別化を行ない個々の患者に有効な治療を提供することを目標に基礎分野も臨床分野も研究が加速している. 子宮頸癌患者は近年増加傾向であり, 同時化学放射線治療に対する治療抵抗群の存在は看過できない問題であった. 今回の研究で同時化学放射線治療を受けた患者におけるSIM2の発現が予後と関連する傾向が示唆されたことで 多くの同時化学放射線治療を計画されている子宮頚癌患者の中の治療抵抗群の予測が立ち,不要な合併症や有害事象を回避し他の選択肢を提供できる可能性が広がった.
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