研究課題
若手研究
妊娠高血圧腎症に対する新しい治療薬の開発を目的として、スタチン製剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬) が血管新生因子の発現をはじめとして絨毛細胞の機能に与える影響についての研究を行った。脂溶性スタチン製剤を妊娠後期由来の栄養膜細胞(CTB)から分化させた合胞体性栄養膜細胞(STB)に対して投与したところ、低酸素下でPlGFの産生亢進、sFLT-1の濃度低下が確認された。これらの研究結果は、脂溶性スタチン製剤が妊娠高血圧腎症の新たな治療薬の選択肢となることを示唆するものである。
生殖発達加齢医学
妊娠高血圧腎症の根本的な治療はこれまで存在せず、早産期であっても分娩とせざるを得ない症例が少なからず存在する。PlGFやsFLT-1の発現異常が妊娠高血圧腎症の発症と深くかかわっていることが知られており、本研究結果からスタチン製剤が早産期の妊娠高血圧腎症に対して妊娠期間の延長が期待される薬効があることが明らかとなった。今後、動物実験などでさらなる治療効果の検証が期待される。