研究課題/領域番号 |
19K18724
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
竹田 貴策 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (10770696)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2027-03-31
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キーワード | 脊髄小脳変性症 / 持続性知覚性姿勢誘発性めまい / 平衡覚認知能 / SVV / OCR / Virtual Reality |
研究実績の概要 |
眼球運動計測から算出したListing平面の厚みをパラメータとした脊髄小脳変性症(SCD)における平衡覚認知能の定量解析法を確立した。SCD症例では仰臥位から座位の体位変換でListing平面の精度が悪化(増大)することが判明した。これは体位変換に伴う体性感覚情報の減少と小脳・脳幹での統合処理障害により、平衡覚認知能の不安定化を反映したものと考えられる。 これのさらなる発展応用として、Virtual Reality(VR)ヘッドセット型装置使用下でもListing平面の厚みを計測できるようにした。並行して、同様のVRヘッドセット型装置を用いて、Control群と疾患群(脊髄小脳変性症、持続性知覚性姿勢誘発性めまい(PPPD)、メニエール病)での平衡認知や重力感受性の評価目的に自覚的視性垂直位(SVV)と頭部傾斜SVV(HT-SVV)の測定/解析を進めた。PPPDの治療介入後の反応不良群でHead tilt perception gain(HTPG)値の上昇を認めた。PPPDの反応良好群ではHTPG値の上昇は認めず、リハビリテーションや薬物治療の効果判定にも有用であることが示唆された。Control群とふらつき症状のないメニエール病間欠期では、SVV(°)、HTPG、HTPG左右差(%)のいずれも、VRヘッドセットではなく従来の方法で測定した既報告の基準範囲内であり、VRヘッドセットでのSVV、HT-SVV測定の実用性を検証することができた。現在は主に65歳以上の高齢者データの収集を進めており、VRヘッドセット条件でのSVV、HTPG、HTPG左右差の基準値を設定していく予定である。またこれと並行して、同じ卵形嚢に由来するOcular Counter Rolling(OCR)の測定/評価方法の確立を目指して、頭部傾斜時の眼球回旋度の定量評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症が一段落し、Control群の健常被験者を対象とした研究について大幅に進展させることができた。さらに専門外来を介して、VRヘッドセット型装置を用いての疾患群への各種定量評価についても順調にnを増やしてきており、疾患ごとの特徴や治療効果の判定の有用性に関しても解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平衡覚認知能を評価するうえで、VRヘッドセット型装置を用いてのListing平面の厚み、SVV(°)、HTPG、HTPG左右差(%)などをパラメータとする測定法を確立したので、今後はnを増やしてさらなる定量評価を進める。またOCRによる頭部傾斜時の眼球回旋度の定量評価方法の確立も目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で遅れた疾患群のデータ収集を引き続き遂行する。
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