研究課題/領域番号 |
19K18742
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
西嶌 嘉容 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30743132)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 嚥下機能 / Top-down入力 / 大脳皮質嚥下領野 / 嚥下中枢 / 領域イメージング法 |
研究実績の概要 |
今年度の本研究において、以下の研究を行った。 1.前年度までに確立したマウス頭蓋窓作製技術と頭部固定装置を用いた実験系を通して大脳皮質嚥下関連領野の観察を安定して行うことが可能な実験系はほぼ確立できた。また、神経細胞にアデノ随伴ウイルスを用いてカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現させることも安定して行えるようになったため、同マウスを用いて領域イメージングによる嚥下領野のカルシウム上昇を可視化できた。 2.覚醒下における嚥下運動と嚥下関連領野における活動を同時にとらえるために、Labviewを用いてマウスリッキングのタイミングをプログラム化しイメージングシステムとの同期を試みており、現在施行中である。また、このシステムに舌の赤外線センサーを取り付ける試みを行っている。嚥下関連筋の動態については、赤外線カメラによる動態のトレースあるいは筋電図を予定している。単一のリッキング誘発を刺激に見立てることで、嚥下運動開始、舌の動き、嚥下関連領野、嚥下関連筋の動態を同期したタイミングで解析できるシステムを構築中である。 3.より広域に観察できる顕微鏡を用いることで、嚥下関連領野における神経活動が2次的に活動を誘発する領野について検討を進めている。また、嚥下に関わる末梢神経を切断した嚥下障害モデルの神経活動について、コントロールとの比較を嚥下領野だけではなく大脳全体で観察することで嚥下障害を代償する機構について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
覚醒下における嚥下運動観察の実験系がやや遅れている。覚醒下においては、マウスの観察場所における馴化やより強度のある頭部固定を行う必要があるためである。また、マウスのリッキングシステムの構築がコロナ禍における半導体搬送の遅延により現在施行中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、嚥下の開始から終了までの一連の嚥下運動に対して、末梢の嚥下に関わる筋肉・大脳の嚥下領野・出力としての舌運動を同期させたシステムを構築し、嚥下の機能障害時の領域イメージングにより大脳からのTop-down機構を明らかにしていく。また、嚥下バターン受容器(Central Pattern Generator;以下CPG)を可視化させるためのFiber bundleについての実験系構築についても試行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
構築した実験系を用いて、現在の実験を継続し、さらに複数のデータを取得する必要があるため。 現在の実験系を用いて継続して研究を行っていくための、物品・試薬・実験機器に充当する。
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