感冒後嗅覚障害は嗅覚障害の原因の中で、2番目に多く、特に閉経期前後の中高年の女性に多い疾患とされているが、その理由はわかっていない。以前我々は卵巣摘出術を施行した若年雌マウスにメチマゾールによって嗅上皮傷害を生じさせたところ、擬手術群に比して傷害初期で嗅上皮再生が遅延した事を報告した。本研究の目的は、老年マウスにおいて卵巣摘出群と擬手術群と嗅上皮の再生速度を比較し、閉経および加齢によって嗅上皮の再生速度が遅延するメカニズムを解明することである。実験の結果、老年卵巣摘出マウスにおいては、嗅上皮再生に有意差はなかった。卵巣摘出による影響よりも加齢による要因が大きかったのではないかと考えられる。
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