本研究は、匂い情報の一次中枢である嗅球で、情報の調節に重要な役割を果たしている介在ニューロン群のなかで、神経回路の解析が進んでいないcalretinin免疫陽性ニューロン(CRニューロン)を形態学的な手法で解析するものである。ラット嗅球CRニューロンを免疫染色と電子顕微鏡によって解析をおこなった結果、樹状突起に、抑制性伝達物質であるGABAを含むことが示唆される小胞が集積している部位を確認した。一方で、これまでにおこなった広範囲電顕観察ではCRニューロンが形成するシナプスは観察できず、他の傍糸球体ニューロンと比較して出力となるシナプスが少ないことが示唆される結果が得られた。
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