白内障術後眼内炎は、眼科手術において最も忌むべき合併症である。しかしその発症頻度は0.04%と非常に稀であり、その機序や予防対策を至適化することは困難である。眼内炎予防対策は多岐に渡る。術前抗菌薬点眼、術中抗菌薬点滴、術終了時においては抗菌薬結膜下注射や前房内投与が施行されている。本研究ではそのメリット、デメリットの詳細を明らかにするとともに、術中ヨード洗浄の有効性を検証した。さらに、欧米では広く行われている抗菌薬前房内投与の眼内炎予防効果を検証した。特にバンコマイシン前房投与後に起こり得る出血性閉塞性網膜血管炎の発症機序として、抗菌薬とホストの免疫反応により起こる機序を明らかにした。
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