甲状腺眼症は人的、経済的な面から大きな社会的な損失をきたす自己免疫性疾患である。近年の甲状腺眼症治療は、従来の抗炎症療法や手術療法に加えて、より効率的な分子標的療法が注目されてきている。本研究では、組織の線維化に関わるchymaseという酵素に注目して、甲状腺眼症モデルマウスおよび、手術時に破棄するヒト眼窩軟部組織の解析を通じて、新たな分子標的療法のきっかけを模索した。結果、モデルマウスは甲状腺ホルモンの上昇を認めたが、眼部の炎症を認めず、chymase活性の分析をするにまで至らなかった。ヒト眼窩組織の解析については、甲状腺眼症群と非甲状腺眼症群とにchymaseの発現に有意な差はなかった。
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