慢性創傷に対するb-FGF導入センダイウイルスの使用を検討する準備として慢性創傷がなぜ生じるか、メカニズムを解明する必要があった。Werner症候群(WS)は、難治性の皮膚潰瘍を発症する確率が高い疾患であり、皮膚潰瘍の発生や進行に関与する因子やメカニズムを解明するためのモデルとして有用である。本研究ではWS患者の潰瘍部の病理組織学的探究を行った。その結果、潰瘍部皮下に生じている石灰化がリンパ管内局在していること明らかにした。また、リンパ管内皮細胞内に異常なWRN蛋白が蓄積していることを明らかにし、この結果は石灰化の蓄積がリンパ管の老化によって生じている可能性を示唆するものであった。
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