本研究により、皮下脂肪における細胞老化の異常が糖尿病性潰瘍に関与していることが明らかになった。細胞老化に介入して創傷治癒を促進するという新しい治療戦略は、難治性であり肢切断のリスクもある糖尿病性潰瘍に、より根治的な治癒をもたらす可能性があり、社会的意義は非常に大きい。また、糖尿病性潰瘍に関する研究では皮膚の異常に着目するものが多い中で、脂肪組織に焦点を当てたことが本研究の特色である。脂肪組織は皮下や内臓周囲、骨髄内など全身に分布している。脂肪組織における細胞老化の異常性を明らかにすることで、糖尿病性潰瘍のみならず、慢性炎症によって生じる様々な疾患に対する新しい治療法の開発に繋がると考えている。
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