乳房再建による人工物再建において半数を超える症例でバイオフィルムを保有するという結果が得られた。これは当科での慢性創傷におけるバイオフィルム検出率と同等であり、無菌操作下で施行し、比較的短い挿入期間での症例が多い本研究において予想を上回る検出率であった。重篤な合併症である被膜拘縮については発生のメカニズムが解明されておらず、これらの発生に関与する因子の解析は急務であるものの、本邦においてこれらとバイオフィルムの関連を詳細に解析している研究は少ない。バイオフィルムと被膜の免疫学的反応の関連性が示唆されれば、予防法の樹立および生体に安全なシリコンの開発へとつながり、社会的意義は大きいものとなる。
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