現在高齢化が年々進み、歯科の疾患構造も変化し在宅での治療頻度が増し、根面う蝕などによる脱灰象牙質を残置せざるを得ない状況が増加している。しかし、脱灰象牙質への効果的な接着方法については未だ明らかになっていない。本研究では抗菌タンパクの誘導能を認める白金ナノコロイドを用いて歯質接着性の改善と最新の歯科材料への臨床応用を目的とした。その結果、白金ナノコロイドを現代の臨床で使用頻度の高い1ステップアドヒーシブの前処理剤として用いると健全・脱灰象牙質のいずれにも良好な接着強さを示すことが判明した。このことは歯質接着分野に、ナノテクノロジーの応用として白金ナノコロイドが大きく貢献する可能性を示している。
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