研究課題
若手研究
過酸化水素光分解殺菌法とは、過酸化水素に波長≦400 nmの光を照射することで生成される活性酸素を利用した新しい殺菌技術である。本研究では、その技術を齲蝕治療の分野に応用することを目的とし、齲蝕関連細菌のバイオフィルム(細菌の集合体・口腔内では歯垢として存在)に対する殺菌効果および、齲蝕進行抑制効果を検証した。一連の研究で、本殺菌法は口腔内で齲蝕を引き起こす歯垢に対する高い殺菌効果を発揮し、その殺菌効果に伴って齲蝕の進行を抑制できる可能性が示唆された。
活性酸素制御学
近年若年者の齲蝕有病率は大きく減少しているが、一生を通してみると大多数の国民が齲蝕を経験することが歯科疾患実態調査等で報告されている。齲蝕は痛みを伴い、進行すれば歯の喪失の原因ともなるためQOLに大きく関わる疾患である。本殺菌法は低侵襲で高効率な齲蝕治療法として確立できる可能性があり、この研究成果は広く国民のQOL維持・向上に貢献すると考えられ、学術的・社会的意義のある研究である。