中性領域でのEDTA溶液単独では抗菌作用,有機質溶解作用を持ち合わせておらず,加えてNaClO溶液とEDTA溶液の併用時にEDTAが有するキレート作用の阻害効果が報告されており有機質と無機質の両方が除去可能な一本化した根管洗浄液が存在していなかった.しかしながらpHを強アルカリ性領域に調整することでEDTA溶液は細菌細胞壁を破壊し,細菌増殖を抑制し抗菌作用を有すること,ハイドロキシアパタイトに結合した有機質成分を溶解することが確認されたことで,EDTAを強アルカリ性領域に調整した,新規多機能性根管洗浄液の開発は臨床応用への可能性が非常に高い研究であると考える.
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