研究代表者は、以前に、組織修復性サイトカイン刺激により歯周靭帯由来間葉系幹細胞(PDL-MSC)から分泌される神経栄養因子(NGF)が、神経細胞の突起を伸長することや、炎症性サイトカインがPDL-MSCでのNGFの発現を抑制することを報告した。これらの発見は、歯周靭帯では非炎症環境下でMSC由来のNGFによる感覚神経受傷後の再生メカニズムが働くことを示唆している。本研究では、神経組織修復因子としての臨床応用が期待されるNGFによる神経再生効果を最大限に引き出すための細胞・分子学的基盤の一部を確立した。今後は、MSCをはじめとした抗炎症性細胞を応用した革新的な神経再生療法の樹立を目指したい。
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